「天災は忘れたころにやってくる」
災害によってどれだけ大きな被害が出ようとも、その記憶がきちんと人の間で受け継がれなければ災害の存在そのものを忘れさられてしまい、再び災害に見舞われる、ということの本質を突いた有名な文句。
大きな地震や津波は頻繁に襲来するものではないため、どうしても災害の記憶が薄まってしまいがちなところはあるかもしれない。
一方で、近年の日本では豪雨災害(特に梅雨の終わりごろ)が頻発しているのが実情だ。
平成25年から気象庁では、「数十年に一度の災害が発生する大雨」などに対して特別警報を発表している。
最近の事例を挙げれば、「数十年に一度の雨」がいかに頻発しているかがおわかりいただけるだろう。
2014年 広島安佐南区での土砂災害
2015年9月 関東・東北豪雨(台風と熱帯低気圧による線状降水帯豪雨)
2017年7月 九州北部豪雨(線状降水帯による記録的な豪雨)
2018年7月 西日本豪雨(梅雨前線が停滞したため広範囲で土砂災害が発生)
2019年8月 佐賀豪雨
2019年10月 東日本台風(関東甲信越・東北で甚大な被害が発生)
2020年7月 九州豪雨(球磨川をはじめ九州地方の河川で大規模な氾濫)
甚大な災害をもたらす雨が増えたと感じる原因は、一昔前に比べて気象予測や観測の技術が向上したこと、特別警報を始めとした避難行動の積極的な呼びかけや報道が増えたこともある。
それでも一番大きな原因は、地球温暖化によって日本の雨の降り方が変わりつつあることにある。(あくまで個人としての意見ですが。)
海面水温や気温が上がれば空気が含むことができる水蒸気量が増えることが、大雨が増える大きな要因の一つと考えられている。
特に、今年2月には南極で20度という信じがたい気温を観測するなど、南半球の夏の暑さが厳しかった。
南極が暑かったから、ということではないけれども、地球のどこかで異常気象になればその余波が巡り巡って世界で異常気象を引き起こすことは感覚的にまちがいないだろう。世界はつながっているのだから。
否、もはや異常気象と呼ばれる現象が当たり前の世界に突入していると考えるのが妥当だろう。かつては「数十年に一度」と呼ばれた大雨が珍しくなくなってきているのかもしれない。
いずれにせよ、大雨や河川の氾濫、土砂災害がいつ日本全国どこで起きてもおかしくない、と思いは忘れずにいたい。